こんにちは村瀬です。業務用のストレートパーマの液でいいのありませんか?と言う問い合わせがありましたので、質問に答えるべき記事とこれから自分でストレートパーマをしようとしている方への記事になります。
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自宅でのストレートパーマとそのリスク
まず、自宅でストレートパーマが成功するのはカラーやパーマをしていない場合で1回~2回程度です。
もし、美容室でストレートパーマや縮毛矯正をしている方は注意が必要です。
なぜなら、一度縮毛矯正やストレートパーマをした場合は髪の毛のダメージとかそういう問題よりも髪の毛の形を構成しているメカニズム的に無理があるからです。
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初心者でも比較的簡単に使用できる薬剤
私はルベルのクリームSをおすすめします。旧商品ですがこの薬剤はとても優秀です。
最近の美容業界の薬剤は髪の毛の質感を良くするため3種混合と言うメチャクチャ使いにくい商品が支流になってきています。
巻き髪ヘアアイロンとパーマはどちらが傷むのか?という記事でも書きましたが髪の毛の形を変えるにはパーマ液が必要です。パーマ液の種類は大きく分けて次の通りです。
パーマ液の種類
- シス系
- チオ系
- システィアミン系
- サルファイト系
- GMT系
パーマの薬剤やストレートの薬剤は濃度が違うだけで実は同じです。そして、それぞれの薬剤は一長一短の特徴があります。
まず、シス系の薬剤の場合は髪の毛の形を付ける能力が低い分薬剤の浸透も少ない薬剤です。
その為、薬剤のアルカリ度数が高くなる分髪の毛への負担があります。その反面髪のシス系の薬剤は毛の水分量が上がるので質感が良くなります。
では、チオ系の薬剤はどうなのか?チオ系の薬剤の場合は形の形成率が大きい為比較的アルカリ度数が少ないのですが実は髪の毛を変化させるので髪の毛の質感が悪くなります。髪の毛に負担が少ないのですが手触りが良くないので一般の方にはパーマで傷んだと勘違いされる薬剤です。
ですから、チオ系は髪の毛にダメージを与えないけど質感は悪く。シス系はダメージを与えるけど質感が良いという難しいのです。これはシャンプーでも同じですね。
では、その他のシスティアミン・サルファイト・GMTはどうなのか?単純にお話するとその他の薬剤は髪の毛にダメージを与える事が少なく保湿作用が強い薬剤なのでパーマをした時の質感はいい感じです。
ただし、保湿作用が高いという事は髪の毛や肌に長い時間とどまるので肌トラブルの原因にもなったりします。それ以外には特有の匂いが残り1週間程シャンプーをするたびに臭います。コスメパーマとかはこれに当たります。
ただ、質感がいいという理由で使用している美容師さんが多いので少し残念に感じます。
この薬剤達は化粧品登録されている薬剤なので肌や髪の毛に優しいというイメージですが実際は薬品なので髪の毛はや肌への影響は変わらないという事です。
今回の薬剤がおすすめな理由
今回は旧商品を持ち出しましたがこの商品はとても良くできている商品です。
使用される薬剤はシスベースにチオ系の薬剤は入っています。この薬剤がおすすめな理由はシリコンやコーティング剤が多く配合されているので髪の毛の質感が良くなる事と毛髪内部に質感向上剤が入る為失敗が少ないからです。
通常、私達美容師が使用する薬剤の場合は質感を向上させる為にトリートメントなどを使用しますがこの商品は不要であまり必要がありません。
そして最大の特徴は美容師の見習いのアシスタントの方が使用しても簡単に施術できる薬剤なのです。ですから、初心者の方が使用してもあまり失敗のない商品という事ですね。
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使用の仕方
ますこの商品を使用するにあたって2つの事を覚えておく必要があります。
- 1つ目はダメージ部分に薬剤を付けない事
- 2つ目は髪の毛にどれだけ薬剤が作用したのかチェックする事
以前この記事でもお話しましたがストレートパーマや縮毛矯正をする場合は髪の毛がどれだけ柔らかくなったか?と言う所を私達は見極めるのですが経験がない皆様には非常に難しいポイントだと思います。
初心者の方が簡単に見極めるポイントをお話すると薬剤を付けてから時間を置き、くせの部分をコームで伸ばしてみてクセが真っ直ぐになるかと言う事です。
コームを通す | くせが伸びている |
ここで注意してほしい事ですがコームを通すと髪の毛は一度真っ直ぐになりますがコームを外すと戻ります。
また、薬剤を付けて髪の毛が薬剤に耐えれない時間を置くと逆にもともとのクセよりダメージによりもっとクセが出てしまいます。これをオーバータイムと言いもうもとに戻す事が出来ません。
ですから、薬剤を使用して髪の毛の状態をチェックするときは10分 → 5分 → 3分と小刻みにチェックしましょう。
縮毛矯正とストレートパーマをした髪の毛
今までストレートパーマや縮毛矯正をした事がある方は特に注意が必要です。一度薬剤を使用した髪の毛は健康な髪の毛と違って薬剤が過剰に反応します。
ですから、必ずダメージがあるところには薬剤を使用しないようにしましょう。
特にストレートパーマや縮毛矯正をした髪の毛に使用する場合は必ず失敗をします。
これは道路で言うと一度綺麗に補正した場所を掘り起こしてまた道を修正する事になるのと同じで一度綺麗にした所を再度何かしらしようと思うと凸凹になるのです。
縮毛矯正やストレートパーマを施術した髪の毛にパーマが出来ないのはこの為です。
ストレートパーマと縮毛矯正の違いと言う記事でもお話したとおり美容師さんのスキル次第で今後パーマが出来るかできないか?が決まるのです。
薬剤が付かないようにするには
以前ストレートをした場所 | ストレートした場所は保護する | 薬剤を付けるのはくせのある所だけ |
ダメージのある毛先にやストレートパーマや縮毛矯正のした事がある髪の毛は絶対に薬剤を使用しないようにしましょう。
しかし何となく気を付けて薬剤を付けても必ず毛先についてしまいます。
ですから、薬剤を付ける前に今お使いのコンディショナーやトリートメントを毛先に付けてから使用しましょう。
コンディショナーやトリートメントを付けた状態で薬剤を使用する事によってコーティング剤が髪の毛に付着したままなのでダメージ部分に薬剤が付いてもリスクを抑える事が出来るのではじめに塗っておきましょう。
くせのある所 | ストレートされた所 | 薬剤を付ける所 |
これはプロの私達もやる技法なのでおすすめです。またリンスよりもコンディショナーやトリートメントの方が保護率が高いのでリンスはあまりおすすめではありません。
出来れば刷毛で塗りましょう
出来れば1人でやらないで誰かに塗ってもらいましょう。トリートメントは昔使ってて不要になった物やサンプルの物で構いません。とにかく多めに用意しておきましょう。
まずは4ブロックに分ける | サイドと後ろで分ける |
トリートメントや薬剤を付ける前にまず4つのブロックに分けておくと綺麗に塗る事が出来ます。
まずは全体の確認 | くせの部分の確認 | ストレートがある部分の確認 |
まずは全体を確認してくせのある部分はトリートメントを付けないようにしてストレートがある部分にトリートメントを付けましょう。
サイドは2つに分ける 後ろは4つぐらいに分けましょう |
分けたらトリートメント付ける | この時はたっぷり付けましょう |
トリートメントはケチらないでたっぷり使用しましょう。不足していると根元の薬剤が毛先に反応するのでたっぷりつけすぎな感じが良いです。
付けたら必ずコーミングしましょう | 付け終わった | 上も同じように |
サイドは2つ~3つに分けて毛先にトリートメントを付け後ろは4回~6回で小分けしてトリートメントを付け必ずコーミングをして髪の毛になじませておきましょう。
1液の薬剤を付ける
薬剤を付ける時に必ず確認して欲しい事がストレートがある部分にしっかりトリートメントが付いているかを確認して根本のどこまでがくせがあるのか?を確認しましょう。
※薬剤を使用する時必ずゴム手袋か使い捨てのビニール手袋を付けましょう。
根元は1cm必ず開ける | 付ける時はなるべく小分けして | 薬剤を付ける |
薬剤を付ける時は必ず根本の1cmを開けましょう、根本に薬剤が付くと肌トラブルの原因にもなりますし根本に薬剤が付いた場合は髪の毛が断毛する恐れがあるので必ず1cm空けてください。
そして、薬剤を付ける時は写真のように小分けして付けないとムラになって失敗するので出来るだけ小分けをしましょう。
薬剤を付けたらコーミング | コーミングしてもう一度薬剤を付ける |
薬剤を付けたら必ずコーミングをしましょう。コーミングして髪の毛に薬剤をなじませて足らなければ足しましょう。この時に注意してほしい事はコーミングをする事によって毛先をトリートメントで保護したところに薬剤が付かないように注意をしましょう。
同じように下の段も薬剤を付ける | 付けた状態 | 問題は裏面 |
分けた下の部分も同じように薬剤を付けていきましょう。
ここで確認をしてほしいポイントですが下の部分に薬剤を付ける前に裏面を確認してください。
裏面に薬剤がなじんでいない場合は薬剤の量が足りていないのでしっかりコーミングをして薬剤をなじませましょう。
必ず裏面迄薬剤がなじんでいる事を確認してください。
薬剤がなじんでない | もう少し | 薬剤がなじんだ状態 |
裏側に薬剤が馴染んでいる事を確認しながらどんどん薬剤を付けて行き全てのブロックに薬剤を付けましょう。
薬剤の使用後のチェック
薬剤を付けたらラップを巻いて10分待ちます。
10分経ってコームで髪の毛が真っ直ぐになるか確認しましょう。クセがある部分が元に戻る感じであれば後5分程待ちましょう。全然変わりが無ければもう10分程置きましょう。
コームでチェック | コームを通す | 伸びたかチェック |
適度にくせが伸びるようでしたら流してください。ここで注意してほしい事は100%くせが伸びる事はないので最大で25分をめどに流しましょう。
25分を過ぎて髪の毛が伸びない場合はストレートパーマの薬剤では対応できないので美容室で縮毛矯正をするしかクセを伸ばす事が出来ません。
必ず25分以上は置かないでください。クセが伸びていないからと言ってこれ以上髪の毛に薬剤を付けたままですと髪の毛が溶けます。
これより先はプロの領域です。
薬剤を付けて時間を置いた後はぬるめのお湯でしっかりと薬剤を流しましょう。結構ヌルヌルした感じですがヌルヌルがなるべくなくなる迄しっかり流してください。
流す時に注意して欲しい事はストレートやパーマの1液は髪の毛を柔らかくする薬剤なのでこの時の髪の毛はとても柔らかくなっており無理に引っ張ると髪の毛が大変な事になります。
この辺は新品の状態のゴム風船とを1度膨らまして空気の抜いたゴム風船と言えば分るでしょうか…一度伸ばした物はもとに戻らないという事です。
ですから丁寧に髪の毛を扱いましょう。
必ず上を向いた状態 | 2液を付けていきます | まんべんなく付けます |
流した後は必ず上を向いた状態で2液を付けましょう。そうしないと顔に2液が掛かるのでとても危険です。
2液はスポイドタイプになって居るので上を向いたまま髪の毛に直接かけましょう。
一度コームで梳かす | 引っ張らないようにゆっくり | 毛先まで通す |
一度2液を付けたらコームで薬剤をなじませましょう。なじませたらもう一度2液を付けていきます。
もう一度付ける | もう一度付ける | もう一度付ける |
もう一度2液をまんべんなく付けます。この時に首元にも薬剤が付くようになじませてください。
まんべんなくコームで梳く | サイドもしっかり梳く | サイドもしっかり梳く |
2液を付けたらなるべく髪の毛を真っ直ぐにした状態で25分~10分時間を置いたら最後にぬるま湯で流したら完成です。
最後の仕上げ
2液を流した後は軽く泡立てるだけのシャンプーにしておきましょう。その後トリートメントなどを使用して仕上げましょう。
お風呂から上がって洗い流さないトリートメントを軽く使用して乾かしていきます。
そして、一番重要な事ですがストレートが終わって初めて乾かすときは丁寧にくせを伸ばすようにしておきましょう。
これは、以前髪の毛に形が付く理由と言う記事にも書きましたがストレートやパーマをやった後に大切な事は水素結合とイオン結合に関係してくる事なので、初めてドライヤーで乾かす時はなるべく丁寧にブローをして綺麗に真っ直ぐになった状態にしてください。
綺麗にブローが出来たら完成ですが、注意してほしい事はブローが苦手だからってストレートアイロンを使用すると大変な事になるので使用しないでください。
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最後に
ここまで説明してきましたがストレートパーマと言う物はお手軽にできる物ではありませんので自宅で行う事はとてもリスクのある事だという事を覚えておきましょう。
私達美容師は髪の毛や髪質を見て最適な薬剤を使用します。
また、髪の毛に薬剤がどれだけ作用したのかを見てストレートパーマや縮毛矯正を行います。ここまでで説明して来ましたが実は本当にストレートパーマって難しい技術です。
今は市販でも簡単に出来るように薬剤が市販されていますがしっかりとした知識がない状態で使用してもなかなかうまくいきません。
私も高校生の時に使用していましたが全く良くわかっていませんでした。美容師になって思い返せばむちゃくちゃな事をしいたと反省しています。
また、今回初心者の方にでも出来るようにと記事を書きましたが、実は皆様が思っているより複雑だという事を少しでも多くの方が知ってくれればと思います。
その事を理解した上で美容室でのストレートパーマや縮毛矯正の値段は高い物と理解して頂ければ幸いです。